ガレージキットのパーツチェックをしていると、パーツの中にゴミが混ざっていたり、そもそもパーツ自体がない場合が稀にあります。
そういった場合、基本的にはディーラーさんに連絡して交換パーツを送ってもらうのが良いのですが、期限が過ぎていたりすることもあります。しかしそれだと組み立てられないのでどうにかしたいですよね。
そういった時に活用したいのが、おゆまる+レジンでパーツを複製する方法です。この方法はパーツが複雑でなく、小さいものであれば割と簡単にできてしまうのでおすすめ。
ここでは実際に私がパーツ複製を行った方法を紹介します。
※なお、販売目的でパーツを複製すると著作権法に接触します。趣味の範囲内かつ私的利用のみで行うようにしましょう!
おゆまるでレジンパーツを複製してみました
まずはじめに見てもらいたいのがこのパーツです。
レジンパーツの表面付近に黒いゴミが混入しているのがわかりますよね。これは胸部パーツなので、非常に目立ちます。塗装で隠すにしてもサフレスにしたい部分ですし、なにより着色されたパーツなので、気泡処理のようにピンバイスで穴を開けてシアノンで埋める…といった方法もとれません。
ヤスリで磨いてもどうにもならないので、ここはパーツ複製でもしてみようかと思いたち、試してみることに。
幸いなことに、小さいパーツなのでシリコンなどを使わずとも100均などで売っているおゆまるを型として使うことで複製が可能です。
パーツ複製に必要な道具
まず複製に必要な道具をまとめます。ポリパテなどでパーツ複製をする人もいるようですが、他のパーツとの整合性を考えると今回はレジンで行うのが適切と判断しました。
・おゆまる(型取りに使います)
・ホワイトレジン(複製用です)
・紙コップ(A剤とB剤を混ぜる時に使います)
・計量器(適量を測るために使います)
・調色スティック(レジンを混ぜる時に使います)
・ヘアドライヤー(おゆまる加熱用に。いつも使っているもので十分)
・リップクリーム、メンタームなど(離型剤として使います)
レジンとおゆまるだけであれば予算3000円~4000円もあれば揃います。
おるまるを使ってのレジン複製に必要なのは道具は以上です。すでに持っている物があればそれを使えばいいですし、なければ買い足すといいでしょう。
なお、おゆまるは2回3回と型取りすると徐々に劣化していき、きれいに型抜きできなくなります。初めての型取りだとほぼ100%失敗しますので、おゆまるは多めに準備しておいたほうがいいです。
おゆまるでのパーツ複製の流れをシンプルにまとめると、以下のようになります。
おゆまるで型取り
↓
レジンを型に流し込む
↓
型から外して精度チェック
たったこれだけです。ただし、パーツによって空気穴やバリをどこにつけるか=どのような型を作るかが変わってきますので、シンプルではありますがややテクニックが必要な作業になります。
おゆまるで型取り
まずはおゆまるを温めるところから始めます。おゆまるはお湯に浸すことで柔らかくなり、冷やすと固まるという特性があるのですが、複製の際にはお湯は使わずドライヤーで温めて型にします。
理由は、水滴が付くと型取りに影響するためです。ですのでお湯は使わずドライヤーで温め、練れる程度の柔らかさにしてください。
柔らかくなったら、型取りしたいパーツに貼り付けていきます。おゆまるも一本で足りそうになければ2本くらいをくっつけて使ったほうが型を取りやすくなります。この時リップクリームなどの離型剤は必要ありません。
きちんとモールドまで密着させることがきれいな型取りをするためにのポイントとなります。
このパーツの場合、表部分と裏部分で2つの型が必要となりました。
ちなみにこの型は失敗パターンです。というのも、空気が溜まりやすい場所に穴を開けておらず、気泡が入り込んでしまったため。
上手に型取りするに試行錯誤した結果、以下の写真のようにすることでキレイに型取りできました。
これについては後ほど詳しく説明しますが、いずれにせよおゆまるでの型取りは2面必要になります。
型取りしたいパーツにおゆまるをくっつけて10分ほど放置したら冷めて固くなっているはずですので、パーツを外します。おゆまるは固まると多少形状記憶しているので少しひねったりしたくらいでは歪んだりしません。なので、少し力を入れてひねったりしながらパーツを取り出します。
そしてレジンを流し込む前に、型の内側に離型剤となるリップクリームなどを塗っておきます。塗る量は指で触って多少ぬるっとするくらいで構いません。
※後にリップなどを塗らなくても問題なく剥がせることがわかりました
おゆまるによるレジン複製で微細気泡ができてしまう問題の解消法
なお、おゆまるで作った型自体が肌で触れて温かい状態のままレジンを流すと細かい気泡が全体にびっしりとできてしまい、完全な失敗となります。
何度試しても沸騰したかのような気泡がびっしりと全体にできてしまう…という問題で悩まされている方は、おゆまる型をナイロン袋などに入れ冷凍庫や冷蔵庫で5分~10分程度冷やしてください。
肌で触れて冷たいと感じるくらいまで冷えてからレジンを流し込むと微細気泡は98%くらいはできなくなります。
それ以外でできる大きな気泡はランナーで空気抜きをきちんと作っておくことで回避できます。
冬場であればわざわざ冷凍庫に入れなくてもすぐに型が冷えるため問題になることは少ないですが、夏場などは型を冷やす必要があることに気づきにくいため注意が必要です。
型にレジンを流し込む
おゆまるでの型ができたら流し込むレジンの準備をします。A剤とB剤を1:1の割合で紙コップに取り出し、混合用の紙コップに移して20秒ほどすばやく混ぜます。
1分もすると透明だった液体が徐々に白濁し固まり始めます。(このとき多少熱が出ますが、おゆまるが柔らかくなるほどではありません。)
↑こうなるともう手遅れなので、固まる前にすばやく型に注入しなければなりません。この辺りがかなり難しいかもしれませんね。
レジンを注入するときのことも考えて型を作っていれば、より簡単な作業になります。先程の写真をもう一度見てみます。
この型は真ん中にレジン注入穴をつけています。ここが一番高さがあり、両サイドの空気抜きは高さが微妙に低いです。
レジンは空気抜きから溢れてくるまで注入します。このとき型の2面(レジン注入側とそうでない側)がくっついているところから漏れてこないことが重要です。
なぜ空気抜きを2箇所用意しているかというと、パーツがおわん型になっているため片方だけでは空気が完全に抜けないためです。
空気の抜け道をキチンと作っておかないとキレイに複製できずレジンもおゆまるも時間も無駄にするだけなので、そのあたりをきっちりと詰めた上で作業するようにしてください。
そしてこの状態でレジンが冷めるのを待ちます。
型抜きが上手く行ったかチェック
レジンが冷めたら型を外していきます。
モールドやディティールなどが潰れておらず、表面部分に気泡も浮き上がっていませんでした。これで複製パーツの完成ですが、歪みなどがあるとくっつけるべきパーツにきちんとはまらない場合がありますので、その辺りもバリ取りしたあとにチェックしておきます。
変に隙間が空いたり歪みが出ている、ということもなさそうですね。ということで、この複製は完成となります。
ちなみに、完璧な複製パーツができるまでに犠牲になったレジンはこれくらいです。
型取りのコツを掴むまではかなり失敗すると思います。なので、おゆまるはやはり多少多めに用意しておいたほうが良いと思いますね。
失敗したレジンやレジンがこびりついた紙コップは燃えるゴミ、あるいはプラゴミなどで処分します。(自治体によって違うので要確認)
ここでお伝えした方法を使えば、概ね完璧なレジンパーツの複製が手軽にできますが、それなりの失敗もあるかと思います。地味に難しい作業(特に完璧な型を作る部分)もありますが、多少の失敗は気にしないくらいの気持ちでチャレンジして見てほしいなと思います。
なお、今回型取りをしたパーツのガレージキットはリターンのセイバーです。
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