自分ですらもはや存在すら忘れているこのブログ、超久しぶりにガレキのことについて書くことにします。
とりあえず結論から言いますが、別に煮ても煮なくても正直どっちでもいいけど長く続けてる人は”特に煮る理由がないから煮ない”に落ち着いていると思われます。
最初にクソデカ予防線を張りますが、大前提として煮るも煮ないもキットをつくる人の自由です。ただ、最近のガレージキットは繊細な造形で細かいパーツのものが多いので、何も考えず煮るとぐにゃぐにゃになって元に戻せなくなったりします。3Dプリンター出力品キットも煮るとバキバキに砕け散る可能性が結構高めです。
そういう現状があるので、初心者の人が可能な限り煮て失敗することがないように、ということで書いてます。クソデカ予防線おわり。
ガレージキット(レジンキャスト)はそもそも鍋で煮る必要はない
具体的にはタイトル通りで、ガレージキットは煮なくてよいという話です。Googleで「ガレージキット 作り方」などで検索するとガレージキットのパーツを片手鍋に入れてガスコンロに掛けて煮る、という情報を目にする機会があると思います。
それらのページで書いてある煮る理由は
- 離型剤を落とす(あるいは落ちやすくする)
- 中に入っているガス(キシレンなど)を抜く
- 複製時にできた歪みを矯正する
などが書いてあります。
しかし2023年において、ある程度の期間(数年~10年単位)を経て現在までガレージキットの制作をこなしてきた方たちは大抵の場合「ガレージキットは煮る必要がない」という見解で概ね一致しています。
というのも、そもそも煮るのはソフビキットの歪みを矯正するために行われていたことだからだそうです。それがなぜか転じてレジンキャストを煮るというところに発展してしまったとか。
※諸説あるかもしれません。
もちろんレジンキャストを煮て歪みを矯正するとか離型剤を落としやすくすると言うのは一理あるのですが、便利ツールや情報がモデラーの間で伝わるようになったことで「それって煮なくてもできるじゃん?」という状況になってきました。また、ガスコンロに掛けて数十分煮てしまった結果、パーツ矯正どころか大きく変形してしまった、という話もあります。
最近では3Dプリンターで出力したキットを間違って煮てしまいボロボロにしてしまった(出力品は一般的なレジンキャストと違い熱にかなり弱い)なんていう事例もありました。笑い話で済めばいいのですが出力品キットも結構良いお値段なのでそういったミスはしたくないですよね。
初心者の人は普通のレジンキャストは煮て良くて出力品は煮ちゃダメとか、そんな事言われても「うるせーよくわからん!!!!!」となるはずです。
私だって初心者の頃にそんな事言われたらうるせーーーーーってなりますもん。。。なので私のことはとりあえずうるせーハゲ!と思いながら読んでください。ちゃんと説明しますから…
なので、ガレージキットは煮なくても離型剤を落とせるし歪みも矯正出来る、と覚えてもらえるといいかと思います。
あ、買ったキットが出力品か普通のレジンキャストか、というのだけは必ず確認するようにしてくださいね。
鍋で煮なくても離型剤は落とせるし歪みも矯正できる
ということで、次は鍋で煮る必要がない理由を説明します。
- 離型剤を落とす(あるいは落ちやすくする)
- 中に入っているガス(キシレンなど)を抜く
- 複製時にできた歪みを矯正する
ガレージキットを煮ずに離型剤を落とす方法
離型剤を落とす方法は3パターンくらいあります。(追記で4パターンになりました)
- 全体を600番~800番くらいのスポンジヤスリでヤスリがけする
- ぬるま湯と中性洗剤、あとはクレンザーを混ぜたものに浸し、歯ブラシなどで洗う
- 上記の中性洗剤の代わりにキッチンマジックリンを使う
- ガイアノーツから販売されているレジンウォッシュを使って落とす
1と2がが初心者の方にとっては一番簡単な方法です。2は私も昔やっていましたが、ちゃんと落ちたかどうかがイマイチ分かりづらいので手で触っただけで違いがわかる1が一番簡単だと思います。離型剤がついているとちょっとツルっとした肌触りですが(場合によってはツルツルにテカっていることも)ヤスリがけするとサラサラに変わります。1と2を組み合わせてやるのが初心者的には多分一番安心安全です。
ぶっちゃけ中性洗剤で離型剤が落とせるかというと、落ちてる感じがしません。中性洗剤だけで洗った状態で塗装した上からマスキングしたら、その部分だけ塗装が剥がれたことがあるからです。なのでどちらかというとクレンザーをつけて歯ブラシで研磨することに意味があったのかもしれません。
キッチンマジックリンを使う方法はかなり強力に離型剤を落としてくれるのですが、長時間漬け置きするとレジンキャストに染み込んで青くなることがあるので注意が必要です。青くなるのが嫌な場合、無色透明のキッチン用アルカリ性の洗剤を使うのが無難かと思います。ただし、アルカリ性は手につくと皮脂を溶かしてヌメるので手袋着用が必要です。そういう意味で、ちょっと初心者にはおすすめ出来ないかなぁと個人的には思ってしまいますね。ある程度慣れた方であれば試して見てほしい感じです。
3はタッパーやフリーザーバッグ(袋を二重にすると破れにくくて安心)などを用意してその中にレジンウォッシュという溶剤を入れ、そこにパーツを一定時間浸して放置し離型剤を落とすという方法。手間もかからず一番ラクな方法ですが、ちょっと多めに溶剤を扱うので初心者の方は直にレジンウォッシュに触れないようニトリル手袋を着用の上でやりましょう。
私は色々余計な作業がするのがめんどくさくなったので、最終的はパーツをタッパーに入れたりジッパー付きの袋に入れてそこに塗装用の溶剤(耐溶剤性のあるスプレーボトル)を吹き付けて10分浸すだけになりました。
浸すだけで離型剤がしっかり落ちてくれます。コレをやるようになってからマスキングで塗膜が剥がれる、なんてことが一回もないのでガチでラクです。今までの苦労は何だったのか…
とはいえこれを初心者の人におすすめはできません。換気の環境が整っていないと危険な方法だからです。
なので、まだ環境が整っていない初心者の方は素直にヤスリがけ、もしくはマジックリンなどのアルカリ性洗剤+クレンザー歯ブラシ研磨という方法でやってみてください。
ガレージキットを煮ずに歪み矯正する方法
ガレージキットは性質上どうしても複製時に歪みがでてしまうのですが、軽く熱を加えれば概ね元の形状に戻るというよくわからんけどすごい謎の性質があります。すごい。
熱と言うのは熱風でもいいし熱湯でもいいです。
なので、1500円くらいで売ってるエンボスヒーターを使って熱を加えて元の形状にあっさり修正できるんですよね。
こういうやつです。
ETEPON ヒートガン エンボスヒーター 小型 300W 急速加温 200℃
なのでわざわざ鍋にお湯を沸かして煮るということをする必要はないです。
でもそれってあなたの感想ですよね?あなたポットで髪の毛パーツとか茹でてませんでしたっけ?と言われそうです。それ思った人はよく動画見てくれてますね…ありがとうございます。
ですが、実際には茹でるのではなく湯煎をしている感じです。
沸騰するかしないかくらいのお湯に10秒~20秒ほど浸してパーツが柔らかくなったところですぐ引き上げてるんです。エンボスヒーターは小さいパーツや局所的な矯正にはおすすめなのですが、パーツが分厚かったりワンパーツがデカすぎると全体に熱を加えられないため矯正が出来ないこともあるんです。そういう時に電気ポットとか鍋にお湯を沸かし、湯煎をするのがいいわけです。
グラグラ煮えているお湯の中に入れっぱなしにするとレジンが柔らかくなりすぎて元の形状すらもわからなくなります。特に細かいパーツやまっすぐな形状のものが歪んでぐにゃぐにゃになってしまうとメンタルがやられます…。なので、そういった細かいパーツこそエンボスヒーターを活用してほしいなと思います。
初心者がレジン内部のガス(キシレン)対策する必要ある?
で、最後の話がレジン内部のキシレンなどの溶剤を抜くため、という理由ですが…キシレンは人体には有毒なので確かにレジン内部に残っているなら出したほうが良いと思いがちですが、そもそもガレージキットのもとになるレジンって最近はキシレンを含んでいない(キシレンフリー)ものに置き換わりつつあるようです。なのでわざわざ煮て排出する必要がないんですよね…
結論:煮なくてもガレージキットは制作できる
というわけで意味不明にクソみたいな長い記事を書いてしまいました。ごめんなさい。でも読んでくれてありがとうございます。
結局のところ長くガレージキットの制作を続けている人がたどり着くのは、”煮ない”です。煮ても良いことが特にないからというのが最も正解に近い答えかもしれません。ずっとうるせーハゲ!と思われているであろう私もガレージキットは煮ていません。だって煮ても良いことないし、別に普通に最後まで作れちゃいますし。
というわけでうるさいハゲからの初心者の方へのうるさいアドバイスでした。ごめんなさい。