2019/4/26追記
ようやく自分でハイパークロームAgを曇らせず、暗くならないようにトップコートすることができましたので、そのやり方をまとめました。
ハイパークロームAgで99%変色・曇りなくウレタンクリアでトップコートする方法
ハイパークロームagなどのメッキ塗装をするとき最大の問題となるのが、トップコートクリアーです。
下地もメッキ塗装もキレイにできたのにいざクリアーを塗ると曇ったり黒ずんでしまうと最悪ですよね。これにより塗装を最初からやり直すはめになると完成がさらに遠のいてしまいます。
しかしこのメッキ塗料におけるトップコートの正しいやり方といった情報はほとんど出回っておらず、メーカーから提供されている情報だけでは上手にコートができません。
説明書にはAg塗装やウレタンの時点で熱源強制乾燥などが必須となっていますが、実際のところ熱源強制乾燥させるとプラモデルやレジンなどでは溶けてしまう恐れや埃の付着の心配もあるため、1時間もハロゲンヒーターなどでの強制乾燥はできません。
乾燥時間が足りないと黒ずんだり黒みが出たりします。妥協しても良いなら短い時間でもOKという話です。「妥協しても」というのは黒ずんだりくすんだりしてもいいなら、という意味なので、できるだけ妥協しないようにしましょう
ハイパークロームagなどを使ってガレキやプラモを塗装する場合のトップコートのやり方を覚書として2017年末頃にまとめておいたのですが、結局公開していませんでした。
つい先日以下の記事を読んだ方からメールで連絡をいただき、どのようにすれば曇りや黒ずみなくハイパークロームagでクローム塗装できるか?についてアドバイス頂きました。
掲載許可を頂いたので、掲載させて頂きます!
ハイパークロームAg EZキットでクローム塗装を曇らせずトップコートする方法
※なおここでお伝えするのはプラモデルを前提としています。
用意するもの
ヤフオクで4000円~4500円前後で買えるそうです。ちなみに、容量が大きい方がいい場合はコンビニなどで使われているホットショーケースという選択肢もありますが、非常に高価です…
メルカリでも「冷温庫」で検索すれば同じようなものが出てきます。
カーボンヒーターを使わない理由は、ホコリが付いたり熱が一点に集中して焦げたりするのを防ぐため。
湿度が低い状態でないと「かぶり」が出るため、作業前に湿度は必ずチェックすることが大事だそうです。
失敗した時にウレタン塗装を剥がすのに使います。
※シンナーに漬けると素材が痛むため
※塗装の前には8000~10000番のペーパーで表面処理、ごみの除去(超音波洗浄器)を行うことを
おすすめします。
手順1:ベースカラーブラック塗装~強制乾燥まで
ベースカラーブラック塗装後120分間55°~60°で強制乾燥、1日常温放置(15°くらい)。
この状態で乾燥後に触ってしまうとAG塗料のりが悪く、最悪の場合Ag塗料がのらなくなります。
ホコリ等が付着した場合で気になる方はペーパーなどでホコリ除去後、再度ベースカラーブラックを塗装、乾燥する必要があります。
この時点でベースカラーブラック(他塗料の場合も)乾燥不足だと
・AG塗料を吹いた際に黒い斑点が出る
・AG塗料がのらない
などの現象が出ます。
手順2:AG塗料塗装~強制乾燥まで
AG塗料塗装後、120分間55°~60°で強制乾燥、1日常温放置(15°くらい)。
分解洗浄、完全にシンナー気を飛ばしたハンドピースを使用。シンナー気が残っているとAG塗装後、白い斑点や黒い斑点が出ます。ドライブースなどがある方は分解洗浄後使われることをお勧めします。
私の場合はガイアさんのツールクリーナーで分解洗浄、1日常温放置しました。シンナー臭がなくなればよいかと思います。
AG塗料の塗装は、ノズルをかなり絞った状態で、圧0.15でササっと吹きます。かなり少量の塗料を
薄ーく吹くのですがイメージの世界なので伝えづらいです。
※ノズル全開だとブシャーっと塗料が出る感じですが、AG塗料はノズルを絞ってフワッフワッとミストを吹きかけるイメージです。
手順1のベースカラーブラックが茶色く塗れる感じです。ここで少量過ぎたり、大量にのせすぎるとまだら模様になってしまいます。
曲面や平面の塗装はイメージをつかみやすいですが、凹凸が多いパーツは曲面や平面の塗装 に慣れてからをおすすめします。
塗装を繰り返すたびにガンメタル⇒銀色に近づきますのでこの辺は感覚で。
雨天(少しでも)、曇りの時は必ず「かぶり」ます。かぶるとAG塗料塗装後白い斑点が後から浮いてきますので、必ず晴れた日に行ってください。
私が塗装する際は湿度50%以下、天候は2~3日晴れが続いている際に行ってます。
エアブラシのホースの中に水滴が残っていないよう注意してください。心配な場合はコンプレッサーのレギュレーターを開放して空運転後に塗装してもよいかと思います。
かぶりが出た状態では何回塗りなおしても白い斑点は消えません。
手順3:トップコートクリアー塗装~強制乾燥まで
専用トップコートクリアーは霧状でまんべんなく遠距離から砂ぶき(0.3ピース使用、ノズル全開、エアテックスコンプレッサー圧0.18)、ハンドピースとパーツの距離は60㎝くらい離す
イメージとしてはミストサウナに入れている感じで吹いてください。
この段階では結構くもりますが、曇った状態で120分55°~60°で強制乾燥、1日常温放置(15度くらい)します。
※この段階では曇った状態でも大丈夫なので、焦って重ね塗りはしないように!!
※デカールを張る場合は、霧状塗装の後、デカール貼って完全乾燥してからデカールを専用トップコートクリアーでコートして④の工程に移ります。
※キャンディ塗装はメーカーさんに聞いたところ、トップコートクリアーの後で行うそうですが、私はウレタンクリアー後に行いました。
手順4:トップコートクリアー塗装~強制乾燥まで
曇った状態ですが、ウレタンクリアーを普通に(プラモ的に)砂ぶき後、ドライ塗装。
その後ウエット塗装(垂れる直前くらい)で鏡面になります。
※普通にプラモにウレタンクリアを塗るイメージでOKかと。この後研ぎ出し可能です。
※私はこの後キャンディ塗装をする際に4000番のスポンジやすりで硬化ウレタンに足つけしてキャンディ塗料を吹きました。
失敗~再塗装:ウレタンクリアを剥がす時の方法
あ、失敗したな・・・・※の状態になってしまった、シンナー風呂行き・・
私も何度も失敗しましたが、この塗料、無水エタノールでボロボロ溶解します。
私はプラモデルにこの塗料を散布しましたが、失敗した際、無水エタノールに1日つけて置いたら塗料だけきれいにベロッって剥げました(塗装後、強制乾燥3日以内でしたので)。
無水エタノールはプラを(見た目)傷めないのでお勧めです。ちなみにウレタンクリアまで工程を進めて気にいらない場合は無水エタノールでハイパークロームAGごと剥げますので失敗をある程度、気にせず塗装できるかと・・・・
※ウレタンクリア塗装から数ヶ月経過後でもラッカー薄め液などで同様に剥がすことが可能
参考記事:http://momiboku.sakura.ne.jp/5-urethane5.shtml
ただし、塗膜が厚いと剥がすまでに1日ほどかかる場合もあります。
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以上、mom様より頂いたメールを多少加筆しながらまとめさせていただきました。
ちなみに、実際にハイパークロームAgにトップコートクリアーをした状態の写真がこちらだそうです。
初IMS建造中でもう2年(・・;)
部品待ち。もうすぐ完成
やっぱりMHってパール メッキ、ウレタンクリアが似合う。#FSS_jp #ハイパークロームAg pic.twitter.com/6fXZHi26Se— mom (@eaUHvpeDZjcD07d) November 5, 2018
寒そうだったので、服を着せました。
フレイムランチャーとやらかした部品請求中を取り付けて完成です。
写真、うまくなりたい(泣)#FSS_jp#ファイブスター物語#レッドミラージュ#ハイパークロームAg pic.twitter.com/MToWIr7snI
— mom (@eaUHvpeDZjcD07d) November 6, 2018
ブログには制作過程とわかりやすい写真が掲載されていますので、一度ご確認ください。
腕や足、腰回りのパーツにハイパークロームAGを活用されているようです!
ちなみに、ここからは私が実際に2017年末頃に試して上手く出来た方法についてまとめていますが、情報が古いのであまり参考にはならないかも…?気になる方だけ読んで頂ければ良いかと思います。
なお、いずれの方法にしても1度目で必ず上手くできる保証はありません。なので必ずどの方法においてもテストピースでうまくいくかどうかを確認してから本番に望むことを強くおすすめします。
ウレタンは塗装を剥がすのがとにかく面倒くさいので…
ハイパークロームAgはシンナーで流れる
まず最初に抑えておきたいことは、ハイパークロームAgなどのメッキ塗料はラッカーシンナーや薄め液などで簡単に流れてしまうということです。メッキ塗料は銀の粒子をウレタン下地に付着させて膜を作ることによりメッキ感を出しているわけですが、これが実に弱い塗膜なのです。
従って勢い良くトップコートをすることで粒子が動いてしまうことにより黒ずみや曇が出てしまうと私は考えています。
ということは、トップコートクリアーをする時にはシンナーや薄め液を一切使わず、クリアーと硬化剤だけを混ぜてミスト吹きを数回繰り返し、最後に光沢が出るまでウェット吹き…というように作業していけば問題なくコート出来るのでは?と考えました。
実際に試してみるとそれが正解のようで、多少は光沢感が削がれるものの(これは仕方ないのですが)黒ずみの全くないトップコートができました。
ということで、トップコート時に黒ずんでしまうのは乾燥不足もありますが、エアブラシで吹きやすくするためにウレタンにシンナーを混ぜてしまったことが原因の場合もある、というのがわかりました。
クローム塗装の乾燥時間は乾燥機に12時間程度、3日ほど放置ならなおよし
銀の塗装をしたら当然乾燥時間が必要になりますが、説明書に書かれているように熱源強制乾燥や24時間の自然乾燥が必要か?というと、意外とそうでもありません。
もちろん念を入れて乾燥させた方が安心ではありますが、一向に作業が進まないので乾燥機に入れて12時間程度(半日)放置したものであれば十分曇りのないトップコートクリアーが可能でした。
心配であれば3日程度置いて様子を見てみると良いかもしれません。
クリアーと硬化剤の割合を1:1にする
エアブラシでウレタンクリアを薄めずに吹くのは難しいですよね。ラッカー塗料のようにドバっと出てくれるどころか詰まってしまい思うように吹けないはずです。
そこでウレタンシンナーを数滴落として吹きやすくする…というのが普通の考えなのですが、そうするとほぼ確実に銀が曇ってしまいます。
なので、クリアと硬化剤の割合を1:1程度に調整してみます。すると、かなりラッカーに近い吹きやすさになるのが実感出来るはず。模型によく使われるのフィニッシャーズのウレタンクリアーGP2の混合割合が2:1程度。なのでそのくらいの割合が当然という考えに陥りがちですが、吹きやすいように硬化剤の量を多めにしてあげることで、シンナーを混ぜなくてもクリアーを吹くことが可能になります。
ゲル化し始めた硬化剤は失敗の元凶
ウレタンの硬化剤(ポリイソシアネート)は空気中に含まれていたり容器に混入した微量の水分などを吸うことで架橋反応し、ゲル化することがあるそうです。(ウレタンは化学反応で硬化します)私も実際にハイパークロームAgの専用クリアーの硬化剤が缶の中でゲル化して使い物にならなくなりました。
ゲル化すると半液状の中に小さな粒が混じるようになりエアブラシで吹くことが困難になりますし、対象物に吹き付けた時につぶつぶが出来てしまうため非常に汚い仕上がりに。ウレタン特有の艷やかで強靭な仕上がりも望めなくなってしまいます。
従って、缶の中でゲル化を始めてしまったのであればツールウォッシャーなどで一時的にゆるくし、缶から出して固めて捨てましょう。ゲル化した硬化剤にシンナーを入れてもまたすぐに固まってしまうので使い物にはなりません。もったいないですが諦めて廃棄して下さい。
トップコートはミストからウェットへ
シンナーなしでもトップコートは可能というのがわかったら早速作業をしてみました。トップコートの吹き方ですが、最初にミストを吹いて銀の塗膜をカバーします。一気にドバっと吹くと銀の粒子を動かしてしまい黒ずみに繋がります。
30秒~1分程度のミスト吹きを3回程度繰り返したら3分ほど乾燥させます。乾燥時間が短すぎるように感じるかもしれませんが、私が行った環境ではこのやり方で問題ありませんでした。
ミストが吹けたらセミウェットくらいの加減で全体をカバーしていきます。一気にドバ吹きするのではなく、緩急つけながらゆっくり吹いていくのがコツですね。
すると徐々にザラッとしていた表面に光沢感がでてきますので、厚塗りしすぎないように注意して塗装を終わります。
ツヤツヤにできれば成功です。粒子感が出るかどうかは下地次第なのですが、ここで紹介したトップコートのやり方であれば黒ずんだり銀の光沢がなくなるほど曇る、ということはありません。
トップコートで青みや黄ばみがでる理由
とはいえ、必ずしも完全に銀のままというわけにもいきません。銀の上に塗料を塗っているので多少の曇りは出てきます。ただ、黒ずみが出てきたり青みや黄変がある場合は以下に該当していないか注意して下さい
・黒ずみが出る
→トップコートにシンナーや薄め液を混ぜていないか
→手順通りミスト→セミウェットの順番で吹いているか
・青みが出る
→いきなりウェットで吹いていないか
・黄変する
→銀を12時間程度乾燥させたか
このあたりをチェックしておけば概ね問題ないと思います。黄変する場合は銀の乾燥不足が考えられるので半日~1日ほど乾燥機に放置しておきましょう。
やり方がわかってもAg塗装はちょっと怖い
というわけで、自分なりに色々試してみた結果、このあたりに注意して作業すればトップコートまである程度キレイに仕上がるということがわかりました。
当然ですが、きれいに仕上がるかどうかは下地の問題もありますし作業する人の技量にも左右されますので一概には言えません。ただ、このあたりを参考にしてきれいな銀塗装に仕上げてもらえればなと思います。